ロッキング・オンが重視する「絶対的他者」の視点

30代女性 入社8年目 ロッキング・オンが重視する「絶対的他者」の視点 メディア事業(CUT編集部) 

熱量のある記事と読者の熱い反応が生み出した、感動的なサイクル

――自分が編集した記事が読者に届いているという実感や達成感を得る場面とは。

売上として成果が出せたときはもちろんですが、SNSや読者アンケートなど、ユーザーからの直の反応をいただけることで、実感を得ることが多いです。取り上げたコンテンツやアーティストのファンの方々に本当に刺さる記事が作れたときには、ファンの方々も「この記事のこういうところが良かった」といった感想を、言葉を尽くしてSNSなどに書いてくださります。そうした具体的なリアクションがあればあるほど、届いているという実感を得られます。ユーザーからの直接的な反応は、仕事をする上での大きな励みにもなりますし、同時に、読者からの反応を見ることで、どんな要素が受け手に喜ばれるかを学び、次の記事制作の際にフィードバックしていくことができます。そうやって、読者とともにどんどん良い記事を制作できるサイクルが生み出せると、達成感もひとしおです。

個人的にとても達成感のあった事例として、当時の上司が映画会社から話を受け、ある漫画の実写映画化発表のタイミングで、『CUT』で先取りの表紙巻頭特集を制作したことがありました。映画化の発表とほぼ同じタイミングでの特集制作だったので、映画自体の人気が出るかどうかはまったく読めない状況です。しかし、個人的に原作漫画がとても好きでしたので、実写化でこの漫画を知った人にも原作好きの人にも作品に興味を持ってもらえるよう、キャストや制作陣へのインタビューとは別に、原作漫画の熱いポイントを紹介するコラムページを制作しました。すると、原作ファンの方々から「この編集部に原作好きがいる」「仲間がいる」といった反応を本当にたくさんいただけたのです。そうした反応を見て、「この作品を応援するには、こうやってファンの方々と気持ちを共有し、一緒に盛り上がっていけばよいのだ」と思いました。

その後は、映画公開までの数ヶ月、その熱量でもって毎月特集を展開。号によっては、キャストのインタビューが無く、編集部のコラム原稿だけで記事を作成したこともありましたが、いずれもファンの方に非常に喜んでいただき、最終的に映画の公開タイミングでは、『CUT』の姉妹誌『H』で再び表紙号を作ることができました。我々が制作した記事に対して読者の方々から熱い反応をいただき、その応酬の中でもう一度表紙号を作ることができるという、とても感動的なサイクルがそこにはあり、その後も編集の仕事を続けていく上で大きな糧となる、とても大切で貴重な経験でした。

あらゆる場面で生きる「絶対的他者」の視点

――ライブレポートを書く際、どこをポイントにライブを見ているのか。

私がライブを見るときには、基本的に「そこに来ているお客さんがどんなふうにライブを楽しんでいるのか」に着目しています。そのアーティストのファンの方々に刺さる、読者がもっとも読みたいライブレポートを目指すとき、対象とする読者像にもっとも近いのは、その会場でライブを見ているお客さんだと思うからです。お客さんたちがライブを体験して喜んでいたポイント、楽しんでいたポイント、感動していたポイントは、その会場に行けなくてライブレポートを楽しみにしていたファンの方々にとっても、嬉しいポイントのはずです。もちろん、自分がそのアーティストのファンであれば、参加者としてライブを楽しんでいる中でも、読者が嬉しいポイントはわかるのかもしれません。しかし、ファンとしてそのライブに入り込み過ぎてしまうと、主観的なライブレポートになりすぎてしまう可能性があります。どんなファンの方々にも喜んでいただけるようなレポートを書くためには、ファンの全体像を掴めるような見方をすることが肝心なのではないかと考えます。

なお、こうしたライブの見方は、ライブレポートを書くこと以外にも、ロッキング・オンで働く上で役に立つ場合があります。ライブでアーティストのファン層やファンの傾向を正しく捉えておくと、雑誌やイベントへのアーティストのブッキングの際の指針になるのです。AというアーティストとBというアーティストのライブには、同様に10代の女子がたくさん来ているから、同じ号に掲載したりイベントに出したりすれば相乗効果が生まれるかもしれない。あるいは、AというアーティストとCというアーティストのファン層はまったく被っていないから、足し算として効いてくるかもしれない……といった具合です。ライブに来ているお客さんは、わざわざお金を払ってライブ会場に出向いてそのアーティストを見る、コアなファンの方々です。私たちはアーティストのライブ自体を作り上げている側の人間ではなく、それを伝えるメディア側の人間ですから、コアなファンの方々がそのアーティストのどんな部分に惹かれ、またどんな情報を知りたがっているのかをその目で確かめることは、記事やイベントを制作する際の重要な作業であると考えます。お客さんを中心にライブを見ることは、「絶対的他者」を重視するロッキング・オンにおいて、あらゆる場面で大切な視点です。

「どんな記事にしたいのか」というビジョンをきちんと持つ

――自分が記事を担当するアーティストや曲などについてどの程度リサーチするのか。

担当するアーティストについて、基本的な情報を知っておくのは、編集する上でのマナーだと思います。「何枚目のアルバム」だとか「活動休止を経て、初めての作品」と言った情報は、当たり前に調べて制作に臨みます。とは言え、取材対象の過去の発言や趣味嗜好などをすべて調べ尽くしておくかというと、私の場合は決してそうではありません。その時々、記事をどういうテーマで展開しようと考えるかによって、必要な情報は変わってくるからです。

例えば『ROCKIN'ON JAPAN』や『CUT』の名物シリーズに、取材対象の生い立ちから現在までのパーソナルな部分に徹底的に迫る、「2万字インタビュー」という企画があります。これは、そのアーティストが作品で描いていることに詳細に迫るというよりは、人生そのものに迫る企画なので、その人がどういう道を歩んできたのかを基礎情報として調べておく必要がある。一方で、シングルのリリースインタビューで、その楽曲のことを詳しく聞くという企画なのであれば、アーティストのライフストーリーについては「2万字インタビュー」ほどには調べなくてもいいのかもしれません。

もちろん、情報をたくさん持っていることで深まる話もあるでしょうからリサーチはするに越したことはありませんが、何より大事なのは、「どんな記事にしたいのか」というビジョンをきちんと持つこと。そして、取材タイミングにあたるアルバムなり映画なり、あるいはライフストーリーなりをきちんと受け止めて、自分の言葉で感想を持つことだと思います。ちなみに、各取材に向けてそういった心構えで臨んでいると、担当する案件以外の音楽や映画などに触れたときも「ああ、この映画楽しいなあ」だけでは終わらなくなっていきます。「なんで楽しいのか?」「この楽しさをもっと説明するとしたら?」という思考になっていくんです。日々、何を見聞きしていても、見終わったあと、聴き終わったあとには頭の中でレビューを書き始めているような感覚……と言うとなんだか大袈裟ですが、エンタテインメントを受け取る際のそういった姿勢は今、担当の記事制作に限らずすべての作業に効果的に作用している気がしています。

1日のタイムスケジュール

  • 9:45
    朝会・メールチェック
  • 10:15
    新規事業会議
  • 11:45
    CUT編集会議
  • 13:00
    昼休憩
  • 14:00
    原稿やレイアウトのチェック・取材準備等
  • 15:30
    取材・試写等
  • 17:45
    直帰

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