Jフェスに例年通りはない。開催当日でも改善を繰り返す。

30代男性 入社9年目 Jフェスに例年通りはない。開催当日でも改善を繰り返す。 イベント事業

客席エリアのど真ん中はお客さんのもの

――「参加者が主役」を掲げるJフェスのスタンスは具体的にどのようなところに現れているのか。

「顧客第一主義」と口で言うのは簡単ですし、どのフェスだってお客様を蔑ろにしているフェスはないと思います。でも、そのスタンスの違いが表面化するのは何らかのトレードオフが発生する場面です。
ひとつ例を挙げると、JAPAN JAMROCK IN JAPAN FESTIVALでは、PAブースがステージの真正面にはありません。屋外フェスではPAブースに雨よけのテントを建てないといけないのですが、そのテントが立つことによって、後ろのエリアの多くが見切れエリアとなってしまいます。スタッフ目線では音作りや明かり作りは真正面でできた方が間違いなく良いのですが、観覧エリアのど真ん中はお客さんのものだっていう価値観で横にずらしているんですね。また、ステージの真正面をズドンとバリケードで左右に分断して、ケーブルやスタッフの導線として使うことも大規模ライブやフェスではよくあるのですが、同じ理由でJフェスではそれを意図的に避けています。
つまり「運営第一主義なのか?」と思われるかもしれないのですが、それともやっぱり違うんですよね。たとえば、現在のJフェスでは転売対策としてリストバンドを廃止していて、入場時に毎回電子チケットで認証をしています。同じことを退場時にも行えば、会場内の滞留人数を把握することができて運営上とても便利なのですが、それは行わないことにしています。なぜならお客さんにとって手間が増えるだけで、メリットがないからなんですよね。滞留人数がわかるなんてことは運営側の理屈でしかないので、そういった納得感を持ってもらえるか?といったことも施策を行う上での判断のひとつになっています。他にもいろんな場面で「参加者が主役」の価値観を最優先にJフェスが作られています。

1回のフェスの反省会を3回やる

――同じ音楽業界内でのロッキング・オンという会社ならではの特徴とは。

目を背けたくなるような課題にも向き合って、毎フェス地道に改善を繰り返していくところですかね。そのために反省会をかなりの頻度でやっています。イベント部でいうと、部内の反省会、他部署も含めた社内全体の反省会、そして運営各社との反省会の計3回を各フェス終わりに行います。だから量も膨大になるんですけど、そこで出てきた大小様々な課題をできる限り潰していきます。特に我々は年間に3回もフェスを作っているので、翌年のフェスまで待たずに次のフェスで改善できることも多いのが強みになっています。
フェスのインフラ作りって基本的に前回どおりにやろうと思えばやれるんです。関わっている方々はみんなプロなので、「昨年どおりでお願いします!」って言えばできるんですけども、絶対そうはしない。毎年改善しようっていう意識が強くあります。フェスの開催期間中もどんどん改善できるところはしていて、それをお客様にもわかっていただいているので、アンケートの回答率も凄まじく高いんです。そういった環境を作ってるからこその好循環ができているのではないかと思います。
JAPAN JAMが蘇我に会場を移してすぐ、砂埃に悩まされたときには地元の千葉市と協力して野球グラウンドを天然芝化しました。来場者数も増え、電波が繋がらなくなったときには、会場の膨大なエリアをカバーするWi-Fiを設置しました。転売対策をより強化するために、これまでフェスでは当たり前だったリストバンドを廃止しました。Jフェスは「フェスのトイレは混むものだ」「入場ゲートは並ぶものだ」といったこれまでのフェスの常識をフェス開催当初から打ち壊してきたんです。その経験があるからこそ、我々はこれらの大胆な改善提案にも誰も笑うことなく、"プロの素人集団"として大真面目に議論を交わすことができています。

Jフェス参加者の皆さんとこのチームでなら、この先何があろうとも乗り越えられる

――今までの仕事の中で一番印象に残っていることとは。

やっぱりコロナ禍をチーム一丸となって乗り越えたことですかね。
この時期は開催の準備をしては直前で中止の繰り返しでしたが、「音楽を止めない。フェスを止めない。」をスローガンに歩みを止めませんでした。
この時期にJフェスアプリの顔認証システムの開発を進めることができましたし、コロナ対策として始めたステージ前方入れ替えエリアは、今ではJフェスの快適性と平等性を象徴する取り組みとなっています。
そして何より、「フェスを作るのは参加者である」ということを改めて認識することができた期間でした。ソーシャルディスタンスの確保、声出しの禁止、その他たくさんの制約がある中で、このフェスを守るのは自分たちである、という参加者の強い覚悟と当事者意識がフェスを成功に導いてくれました。JAPAN JAM 2021では、駅から会場までの導線に複数の報道カメラマンが待機していました。そのことによって、本来参加者の皆さんが背負う必要のない後ろめたさまで感じさせてしまったかもしれませんが、あの時フェスを支えてくれた方々には感謝し切れません。もちろん二度とこのようなことは起こってほしくはありませんが、あの辛く先の見えない時期を乗り切ったJフェス参加者の皆さんとこのチームでなら、この先何があろうとも乗り越えられるだろうという自信に繋がりました。

1日のタイムスケジュール

  • 9:45
    朝会・メールチェック
  • 10:15
    フェス出演アーティストとのやりとり
  • 12:00
    ステージスタッフとの打ち合わせ
  • 13:00
    データ分析分科会
  • 14:00
    昼休憩
  • 15:00
    フェス資料作成
  • 15:45
    ブッキング会議準備
  • 16:30
    票券定例(イベント部&IT事業部合同)
  • 17:30
    タスク整理
  • 17:45
    帰宅

Contact Us

ロッキング・オン・グループ各社に関するお問い合わせは、 こちらよりお送りください。